編集長です。今回は、一般的な高齢者向けの体力テストと雇用延長の判断材料と言うテーマでお伝えします。
一般的なテストの内容
筋力
握力・上体起こし・下肢筋力・立ち上がり・歩行などを測定します。
※(FPT)フィールドワークポテンシャルテストでは、握力・背筋力・立ち上がりを測定します。
バランス
開眼片足立ち・閉眼片足立ちでバランスの調整を測定します。
※FPTでは開眼片足立ちを測定します。
柔軟性
長座体前屈で柔軟性を測定します。立位体前屈が一般的でしたが、今はこの座って行う長座体前屈が主流です。
※FPTでは企業内でできるように立位体前屈・肩の柔軟性・足首の柔軟性を測定します。
俊敏性
繰り返し動作で時間を測定します。
※FPTでは棒反応・お手玉・ファーレンを測定します。
身体認知
一般的な体力テストでは行いません。
※FPTでは閉眼回転・腕上げを測定します。
記憶力
一般的な体力テストでは測定しません。
※FPTでは標識記憶・手順記憶を測定します。
得られる評価
体力テストで得られる評価は、あなたの年齢・性別の平均値は○○です。あなたは平均値よりも優れています。そういった評価になります。
※FPTでは、年齢性別問わず1つの評価軸で要注意・良い・優れているの3段階評価を返します。
評価結果をどう活かすのか?
世の中の平均より優れているという評価を得ても、企業の中でその結果をどう評価していいのかわかりません。従事者の健康意識向上には一役買うと思いますが、「みんな健康になってね」「みんな健康を維持してね」ということにしか繋がりません。
健康経営という視点では一旦、意識の向上という点で目標は達成されるでしょう。
企業の体力テストが必要とするアンサーとは?
企業が高年齢労働者に対して体力テストを行う必要性を感じるきっかけは主に3つだと考えられます。
1.経産省の健康経営の認証を得ようとした際に、高年齢従事者の体力テストが加点になる
2.厚労省のエイジフレンドリーな職場実現の要素を調べていたら、高年齢従事者の体力テストを推奨されている
3.高年齢従事者の労災事故(主に転倒事故)を防ぐ方策を指示された
上記がきっかけであれば、企業が得るべきアンサーは、
1.体力テストを定期的に行って企業に測定結果と評価が保存されています
2.社内での対策もしくは個々への注意喚起を行う材料の一つとして利用できる
3.安全のための配置転換や雇用延長可否の材料の一つとして利用できる
ではないでしょうか?健康意識増進のためだけにコストと時間を使う(作業を止めたり残業代を支払う)のはもったいないです。
独自の測定や体操を社内で構築せよ
超大手企業の中にはすでに、自社で測定やその後の指導や企業オリジナルの体操を考案してお手本として他企業から学びに来るという先駆的な企業様もいらっしゃいます。しかし、相当大きなリソースを使い、それがうまく軌道に乗った時に大きな得られる利益や機会損失の低減があるため可能です。大学の先生と共に開発しましたというものですので、その過程でも相当なコストと手間がかかっています。
そういった先駆的な事例を見て、「自社でも同様の仕組みを構築しなさい」という命を受け、展示会などで色々と情報収集をされている方が多数いらっしゃいます。そして、その方々は「エビデンスはなんですか?」「どこかの大学と共同開発ですか?」そういう質問をされることが多いです。
なぜなら、上司からの命を受けて動いているので、当然、上司に報告する必要があり、その際にそういう権威付けが後ろにないと話を通す自信が自分にないからです。
もう少し、正しい表現をしましょう。そういう方は、自社内でどういうことが近年起こっていて、何がその原因でどういう対策をしないといけないなあ・・・という常日頃から実際の現場で起きていることを知らずに、考察せずに、「仕組みを構築しなさい」の命で情報収集を行っているから、「これだっ!」というものが目の前にあっても引っかからないのです。
せっかくなら二兎を得ましょう
企業が高年齢従事者の体力テストに取り組む際に、健康意識増進に繋げることは容易ということは分かり易いと思います。ですが、せっかくコストと時間を使うのであれば、健康意識増進よりも喫緊の課題の「労災事故防止」にも繋げて、二兎を得ないと割に合いませんよね?
本来の高年齢従事者の体力テストは、スタート地点が「労災事故防止(主に転倒事故)」のはずです。厚労省がSTOP!転倒事故キャンペーンを続けても続けても一向に転倒事故労災が減らなかったことがスタート地点のはずです。経産省の健康経営の認証を受けることも採用などの点で価値がありますが、現場は「とにかく労災事故を減らして、事故が起きるたびに増える意味不明なルールを減らしてくれ」が一番の願いだと思います。
自社オリジナルを目指すならこうしましょう
人事部や総務部や安全推進部として、自社オリジナルを目指すのであれば、測定は外部サービスを使用して、その結果が出た後の対策についてのみオリジナルにすることをおすすめします。
実は、測定と測定結果評価を構築することが非常に難しいからです。予算リソースがあればあるほで泥沼にはまります。私たちも、当初、柔道整復師と測定項目を構築していきましたが、彼らはプロなので色々な項目を測定してできるだけ正確な評価結果を出したい。私たちは、どの会社でも簡単にできるようにしないとサービスが開始できない。そう考えました。結果、柔道整復師の原案を基に、私たちだけで仕上げたという経緯があります。
みんなができることの意義
日本には、ラジオ体操と言うある年代以上の方は音楽が鳴れば当たり前にできる国民的体操があります。しかし、今の学生は学校でラジオ体操を行っていないので、私たちのように体操できません。みんなが同じことをやっているというのは非常に価値があることで、みんなが同じ体力テストを行えば良いと考えています。
もしも、みんなが同じ体力テストを受けていれば、転職の際にも、体力テストの結果を提出すれば雇用のミスマッチも減ると思うのです。求人の年齢をオーバーしているけどまだまだ働ける人を見つけることもできると思うのです。
最後に
文中に、FPT、フィールドワークポテンシャルテストという文字が出てきましたが、https://chic-work-lab.jp/fpt/ にその説明があります。興味を持っていただけましたら是非、ご覧いただければと思います。