編集長です。トラックに関する法改正がありますのでまとめてみます。
令和5年(2023年)10月1日施行 昇降設備、保護帽
昇降設備 適用拡大 安衛則第151条の67関係
荷を積み卸す作業を行うときに、昇降設備の設置義務の対象となる貨物自動車は、最大積載量が 5 トン以上のものでしたが、2 トン以上 に適用範囲が広がります。
昇降設備
「昇降設備」には、踏み台等の可搬式のもののほか、貨物自動車に設置されている昇降用のステップ等が含まれます。なお、昇降用ステップは、できるだけ乗降グリップ等による三点支持等により安全に昇降できる形式のものとするようにしてください。
上記の記載によると、平ボディーのトラックやダンプの側面、荷台の前方にあるステップで認められような記載です。その場合、追加の対応は要らなくなりますが、「できるだけ昇降グリップ等による三点支持」という点で努力を促す形かと思われます。ちなみに、ステップの高さや踏み面の長さ等の規定は記載がありません。
では、どういうトラックが対象になるのかと言うと、箱車で後方扉を開いて乗り降りする場合に、足を掛けるステップがない(バンパー状のものが奥まって設置されている)ものが対象になると思われます。このケースの場合、地上と荷台の中間にステップを設ける例がチラシに記載されています。ただ、これをやるとバックでビタ着けができなくなるので様々な問題があると思われます。
最近、法改正で対応が必要だとのことで、ステップの売り込みが激しくなっていますが自社の車両の現状や顧客独自のルールなどを踏まえて導入する必要があるのか冷静に検討する必要があります。
テールゲートリフターは昇降設備として使用できるか?
また、もう一点、テールゲートリフターを備える車両は、テールゲートリフターを中間で止めて、昇降台として使用して良いというイラストがチラシに掲載されているので認められるようです。ただし、後述するように特別講習が必要になってきます。
保護帽 適用拡大 安衛則第151条の74関係
荷を積み卸す作業を行うときに、労働者に保護帽を着用させる義務の対象となる貨物自動車について、最大積載量が 5 トン以上のものに加え、以下のものが追加されます。
① 最大積載量が 2 トン以上 5 トン未満の貨物自動車であって、荷台の側面が構造上開放されているもの又は構造上開閉できるもの(平ボディ車、ウイング車等)。
② 最大積載量が 2 トン以上 5 トン未満の貨物自動車であって、テールゲートリフターが設置されているもの(テールゲートリフターを使用せずに荷を積み卸す作業を行う等の場合は適用されません)。
わかりにくいのでまとめると、最大積載量2t以上の平ボディー、ウイング車。最大積載量2t以上のテールゲートリフターを使用した積み下ろし作業で保護帽(ヘルメット)の着用が義務化ということです。
テールゲート操作時のエンジン停止改正
走行のための運転位置とテールゲートリフター等の操作位置が異なる貨物自動車を運転する場合において、テールゲートリフター等を操作し、又は操作しようとしている場合は、原動機の停止義務の適用が除外されます。なお、ブレーキを確実にかける等の貨物自動車の逸走防止措置については、引き続き義務付けられることにご留意ください。また、逸走防止の観点から、可能な範囲で原動機も停止するようにしてください。
上記は、テールゲートリフターのリモコンやボタンが運転席にない車両は、テールゲートを使用する際にエンジン停止をしなくて良いという改正ですが、歯止めなど車が勝手に動き出さない措置は変わらずに必要という内容です。
令和6年(2024年)2月1日施行 テールゲートリフター特別教育義務化
荷を積み卸す作業におけるテールゲートリフターの操作※の業務を行う労働者に対し、以下の科目、時間について特別教育を実施する必要があります。学科1.5時間+2時間+0.5時間=4時間 実技2時間 合計6時間。他の資格同様に経験を証明できれば講習時間は短縮されます。
特別教育は10月から始まっていくようです。ただ、予約が取れないという事態は想像できます。フルハーネスの大混乱を思い出せば・・・
令和4年(2022年)5月13日施行 積載制限緩和
これは、既に施行されている法律ですが、知らない方が多いのでまとめます。従来は長さ方向は、車両長さの1.1倍。幅は車両の幅が、制限外積載許可申請が不要なサイズでした。
改正により、長さ方向は、車両長さの1.2倍。幅は車両の幅の1.2倍に緩和されました。これまで、幅方向のはみ出しが認められていなかったものが1.2倍となり。左右0.1倍ずつはみ出しが認められました。具体的には、1.7m幅のトラックでは左右17cmずつはみ出しが認められるようになっています。ただ、注意が必要なのは、前後方向も0.1倍ずつなので、前方に0.2倍はみ出しはNGです。
おまけに、結構知られていなくてやってしまっている方がいるのですが、トラックシートで車のナンバーとライトを隠してしまうと捕まってしまいますのでご注意ください。
このページの画像やイラストは労働基準監督署作成のチラシ および 警察庁・都道府県警察作成のチラシより引用しています。