福岡です。先日、ある会社の社長と面談した際に、「会社を譲渡しても社長は継続できるの?」と質問いただいたので、本日はこちらの内容について簡単に解説させていただきます。
「将来的には譲渡を検討しているけど、まだまだ社長をやりたい」と考えられている方もいらっしゃると思いますので、参考にしていただければと思います。
会社を譲渡しても社長は継続できます!
まず、結論から言いますと、会社を譲渡しても社長を継続することは可能です。ただ、ご存じの通り、取締役の選任は株主の権限となるので、株主(=買い手企業)に継続することを認めてもらう必要があります。
先日面談した社長は、会社を譲渡した場合、株主(=買い手企業)は基本的に前社長を退任させて買い手企業から新たな社長を連れてくるものだと考えていたようです。中小企業M&Aの多くは売り手企業と買い手企業が対等な立場で話が進んでいくケースが多いので、社長が継続勤務をしたいという意向があるのであれば、買い手は基本的にその意向に沿ってくれることが多いでしょう(万が一、交渉の場面で社長を継続したいのに買い手が継続を認めないような意向であれば、その買い手企業への譲渡を中止すればよいのです)。
社長を継続してくれることは買い手企業にもメリットがあります
様々な買い手企業と接する中での感覚として、社長に継続勤務して欲しいと考える買い手企業は多いです。中小企業は社長の影響がかなり大きいですので、社長がすぐに退任することによる悪影響を懸念する買い手企業は想像以上に多いです。社長が退任することによる取引先との関係性の悪化、社員の動揺、中には社長が退任するなら自分も辞めるという社員も出てくるかもしれません。そうなると、今まで通り事業を継続することは難しくなる可能性があるので、買い手企業としてはそのリスクをできるだけ排除したいと考えます。
M&Aを検討している買い手企業から、「今回は社長さんが退任されるようなので、辞退させてください。」とお断りのご連絡をいただくことはあるのですが、逆に「社長さんが継続されるようなので、辞退させてください。」という話を記憶にないです!
事業承継の場合は、引継ぎをしっかりすることで退任できます
ここまでの話ですと、「社長を継続しないといけないの?」と考えられる方もいらっしゃるかもしれませんが、引継ぎをしっかり行うことでもちろん退任も可能です。事業承継が譲渡理由の場合、基本的には社長が退任することが多いと思います。引継ぎ期間は買い手企業の意向によりますが、半年~長くて1年程度が多いと思います。
逆に言いますと、事業承継の場合でも、譲渡後の一定期間は引継ぎが必要ですので、その期間も考慮のうえ、譲渡のタイミングを検討する必要があります。