はじめに
今日の主人公は、日本の工場で働いているG君。私が日本語レッスンをしていて印象的な方です。年は30才くらい、日本に7年くらい住んでいると言っていました。
彼は日本語をよく使います。「よく」という言葉は少しあいまいですが、ためらうことなく日本語を話します。いいテンポで日本語会話ができます。
私は多くの生徒の背景を感じながらレッスンをします。日常の場面に当てはめる方が、日本語を表現しやすいと思うので、生徒個人の特徴をおぼえながらレッスンをします。授業を重ねるたびに、生徒たちは私の身近な存在となっていきます。
今回お話しする彼は3人の子どもがいます。家族のことを思いながら日本で働いています。
「彼もお父さん、なんだな。」と日本語レッスンの最中の例文でいつも感じます。
日本語のレッスン中も、とても家族思いであたたかい雰囲気が伝わる例文を作る事が多い、心優しい男性です。
彼はいつも、得意げに日本語を話します。
フィリピンから来た他の方にも、とてもやさしいリーダータイプです。「とても、日本語が上手」という印象を受けます。しかし、彼が間違えたのです。
え?確かに似ている、この日本語
その日のレッスンは、「~ので」「~のに」でした。
テキストの例文は、「~ので」の場合
「ちょっと、暑いので、窓を開けても いいですか?」
「~のに」の場合
「冬なのに、あたたかいですね」
一人ずつ例文を作ってもらうため、彼の例文を聞きました。
作ってもらった彼の例文で間違えていることに気付きました。
『のでの例文』
「外が晴れなので、でかけます。」
『のにの例文』
「雨が降っているのに、滑らないでください。」
え?確かに、似ているのに、意味が全く違うね。
「ので」の場合は、原因→要望や、結果に話が展開します。
「のに」の場合は、状況→状況の想定と反対の言葉が来ます。
これは、わかりづらい。間違えて覚えている可能性あり。
間違えていることを発見できる?
もし自分の身近な外国人が、これを間違えて覚えているとして、発見できる?仕事でこの言葉を間違えていたら、すこしすれ違いが起こるかも。
例文
「私は歌が下手なのに、カラオケに行きません。」
本当は「ので」を使いたかった…しかし気付かない…
なんだか、カラオケに行って歌の練習をしなさいと、誰かにいわれたが、しかし私は行きません。というような内容に聞こえます。
なるほど。この間違えはよくありそうです。
気付くことは大事
まず、間違えを見つけることもとても必要ですね。そして簡単な日本語で説明する。
説明の結果、G君は習得してくれました。私の解決方法は、わかりやすく、簡単な言葉で例文を作って説明することです。身の回りのことで、例文を作る事が本当にわかりやすい。なんとなく覚えている英語より、簡単な日本語でゆっくり日常生活にあてはめて例文を作る。これが良い方法です。今回は間違えて覚えていることに気付けて良かった。
また、次回も日本語レッスンで感じたことレポートしていきます。