編集長です。屋外での現場仕事の経験から熱中症の症状とその対策をお伝えします。
熱中症の症状(軽め)
指や足が攣る
まずわかりやすく出るのが指先が攣るという症状です。私たちは造園屋なのでハサミを持つ右手の指が攣ります。おそらく一番わかりやすい症状です。それから体に負荷が高い作業では、足の裏が攣ることもあります。
声が通らない
のどが渇いてというだけではなく、電話での通話やちょっとした会話の際にも声が前に飛ばなくなります。ろれつが回りにくくなるということも起きます。
熱中症の症状(要注意)
頭が痛くなる
薄い頭痛という状態になります。頭がガンガン痛いという症状ではなくなんかちょっと頭が痛いという状態です。
汗の出方が少なくなる
あんなに汗をかいていたのに、なんか急に汗が出なくなってきた。という症状はかなり注意です。
心臓の苦しさを感じる
心臓が苦しいなあとか、息をするのがちょっと負荷がかかるなあという感触です。
熱中症の症状(重度)
自分も周囲も経験がないのでわかりません。
症状が出てきたときに効く対策
熱中症対策のタブレットを舐める
これはすごく効きます。軽めの症状が出た時に舐めると結構効きます。個人的にはクエン酸が含まれていると書かれている商品がお勧めです。自分の経験では1日4つくらい予防的に舐めるとずいぶん楽です。飴もありますが、車の中やポケットの中で溶けてしまいますので、タブレットやラムネがお勧めです。
できるだけ甘くないスポーツドリンクや麦茶を飲む
スポーツドリンクはできるだけ薄い製品を選んでください。決して粉を溶かすタイプを濃く作ってはダメです。
お茶に関しては、麦茶や色々な穀物が入ったノンカフェインのお茶がお勧めです。夏の暑い時にがぶがぶ飲んでも胃が痛くなりませんし、ミネラルが豊富と書かれている商品はやはり体が楽になります。
10分間でもエアコンにあたる
中程度の症状が出た時には、エアコンに頼らないと改善しません。車でエンジンをかけたり、涼しい部屋の中で休憩しないと無理です。
熱中症を防ぐために(予防)
熱順化を意識する
熱さに慣れることが大事です。いつもエアコンが効いた部屋で仕事をしていて休みの日にゴルフをするなど、「たまに暑い場所で何かをする。」ことが一番きついです。工事現場で「こんな暑い日にあの人たちよくやるよね。」と見えると思います。しかし、毎日それをしているから熱さに慣れていて強いのです。疲れの蓄積はもちろんありますが、暑さで熱中症で倒れる確率は断然下がります。
私も毎日暑い現場で作業をしている方が、週に1回現場で作業するより楽です。たまに熱い環境に出てしまうので負けてしまうのです。
汗をかける体にする
汗をかく習慣がない方は「女優は顔に汗をかかない。」みたいなスゴ技をお持ちですが、汗というのは、汗(水)をかいて、体の表面を冷ますことで体温上昇を抑える生存するための機能なのです。ですから、日頃から太陽が照り付ける環境で仕事をしていたりスポーツをしている人は「尋常じゃない汗をかくスゴ技。」を持っています。
これは、鍛えることができます。ずばりサウナです。サウナで汗腺をしっかり機能させる(イメージとしてねばッとした汗を強制的に出し切ってさらさらの汗がスムーズに出る体にする)ことができます。サウナに12分死ぬ気で耐える必要はありません。4分でも6分でもご自分のペースでされればいいです。ただし、経験上、必ず水風呂には入って、2セットもしくは3セットやる必要があります。サウナは何度も行く必要はありません。一度汗をかける体になれば1シーズン持続します。
2セット目から出てくる汗の質が変わってくるのが分かると思います。2セット目から肌の表面の汗が小さい粒でいっぱいになると思います。1セット目の汗を観察してください。車のガラスの撥水コーティングではなく親水性みたいな汗が1セット目。2セット目からは撥水性みたいになると思います。
長袖を着て肌を露出しない
砂漠で生活している人たちは絶対に半袖で生活していないと思います。太陽の日差しが強烈だと汗が蒸発しやすいことよりも灼熱を浴びないほうがメリットが大きいからです。気温や湿度で熱中症のアラートは出ますが、太陽の灼熱のエネルギーの巨大さを今一度感じてみてください。
機能性の高い服に頼る
コンプレッションインナーというと分かりやすいでしょうか?ゴルフなどをする人たちが良く来ているピタピタの長袖Tシャツです。できれば黒系よりも白系が涼しいです。色の違いで暑さは全く変わります。
その手の製品は職人御用達のあの黄色い看板の服屋さんなどで見てみると分かりやすいと思います。店内はエアコンが効いていて涼しいのですが、選ぶ基準は、「服の内側に手のひらを入れて記事を触ってみてひんやりするもの。」です。
長袖の服は暑いな・・・という方は腕カバーを別で着ければ良いです。ただし、腕カバーもとても涼しくなるのですが、本当にピタピタの製品が多く、腕カバーを外すと腕にバームクーヘンみたいな縞々の跡が残るものが多いので、できるだけゆったりサイズの締め付けが少ないものを探してみてください。
木陰の涼しさを再認識しておく
木陰はとても涼しいです。しかし、なぜ涼しいのか説明できる人はほぼいません。お答えします。「木の体内を水が動いているからです。」木に限らず植物は通常、根から水を吸い上げ、葉裏から蒸散します。葉裏からの蒸散が涼しい理由ではありませんよ。私たちの表面体温が37度くらいなのと同じように植物の表面温度も40度くらいを超えないようになっています。アスファルトや金属や木材(←実はこれみんな知らない)などは生きていないので表面温度が60度や80度にあがります。それに対して植物は40度程度で止まります。だから、同じ日陰でも構造物に囲まれた人工的な駅前広場と木陰の涼しさが違うんです。
ということで、休憩する時に涼しい場所を知っていることも重要です。
ゆっくり動くを心掛ける
重たいものを持ったり、長い距離を歩いたり体に負荷がかかることをやると一気に熱中症の症状が進みます。できるだけ無駄な動きをしない。てきぱきと早く動かない。立ったりしゃがんだりといった大きな動作を減らすことを意識してください。私は灼熱の中では「通常の7割のスピードで動く。」を心掛けています。これで随分楽になります。いつもより3割作業が遅かったとしても、倒れて1週間休むよりは良いと割り切っています。
作業などの合間に予防的にすること
・クエン酸が含まれるタブレットを定期的に舐める(個人的には1日4個程度で抑えています)
・1時間程度ごとに水分補給休憩を取る(個人的には1時間半を超えない程度に休憩を入れます)
・お昼休みなどに汗拭きシートなどでスッキリする(気分的に暑さが緩和された気になります)
・人としゃべったり電話でしゃべっていつも通り話せているかを確かめる
熱中症予防でやってはいけないこと
予防のために経口補水液や甘いスポーツドリンクを飲む
経口補水液は、「あかん!」という時に対処的に飲むものだと思ってください。甘いスポーツドリンクもそうです。今は、スポーツドリンクをだいぶ薄めたようなタイプが出ています。通常はそういった薄いもので充分ですし、肥満リスクの方が怖いです。熱中症対策で経口補水液を毎日、一人一本支給していますという会社があって驚きました。
糖分を液状で取り入れるという事は相当な率が体に吸収されてしまうからです。そして、糖質をセーブした経験がある方はわかると思いますが、糖分を体が吸収するために結構なエネルギーを使っているようです。糖分を長らく抑えていた後に、急に甘いものをたくさん食べると体がものすごく疲れる経験をした方はいらっしゃると思います。
緑茶 紅茶をたくさん飲む
お茶に関しては、私が個人的に緑茶を飲むとカフェインに負ける感触があるので敏感なんだと思いますが、夏場の水分補給に緑茶は良くないです。温かい緑茶を飲む分にはたくさん飲めないから良いと思いますが、ペットボトルでがぶがぶ飲むのは利尿作用が強くて良くないです。同様にカフェインが多く含まれる紅茶もあまり向いていません。
水をたくさん飲む
水が良いという方も多いですが、これは日常生生活ならそうでしょう。猛暑の中での水分補給では水をたくさん飲むことは本当に体の力が抜けるので気をつけてください。体の感じ方から察すると、塩分濃度とかミネラルとかそういう成分が機能しなくなるような感覚があります。
そして、水は冷たくないと美味しくないことが多いのでどうしても冷たい水ばかり飲んでしまいがちです。しかし、麦茶などはぬるくても車の中で温まってしまっても結構おいしく飲めるものです。
まとめ
熱中症対策ってTVの情報番組などでよく取り上げられますが、どの程度の灼熱でどういう層に対してのアドバイスなのかを考えると、日本で一番過酷な環境で何かをしている人向けではないことは明らかです。「高齢の方は暑さを認識しづらくなっているので、部屋の中でエアコンを我慢しないでくださいね。」という内容ばかりです。
灼熱の毎日、お日様の下で元気に仕事をしている私たちのアドバイスは、「外で一日フェスで盛り上がるぞー!」「子供の大会で1日外で応援だ!」「畑の草取りもしなきゃいけないぞー!」という方に役に立つと思います。