柴山です。今回は熱中症予防Part4。最終回です。
熱中症予防のための食事
熱中症を予防するためには暑さに負けない体づくりが大切です。夏場はどうしても食が細くなり、そうめんなどの食べやすいものだけを食べてしまいがちですが、バランスの良い食事を心がけて、丈夫な体を作りましょう。
夏野菜のキュウリやナスなどは水分を多く含む食材を食事に取り入れるのもおすすめです。
過度に塩分をとる必要はありませんが、毎日の食事を通して程よく塩分を摂りましょう。大量の汗をかいたときは、特に塩分を補給してください。ただし、かかりつけ医から塩分や水分の制限をされている方は、相談の上医師の指示に従ってください。
暑い日に摂りたい栄養素
ナトリウムとカリウム
私たちの体は排泄、汗など全てを含めると、1日に約2500mlもの水分を失うとされています。また、暑い日はたくさん汗をかくため、さらに多くの水分を失っている可能性もあります。汗は水分だけでなく、体内から排泄されたナトリウムやカリウムなどの電解質が多く含まれています。つまり、汗をかけばかくほど体から電解質が失われていくのです。電解質が不足すると、筋肉の収縮運動に異常が生じてこむら返りが起こりやすくなるなど、熱中症の特徴的な症状を引き起こすこととなります。体内では電解質を作り出すことができないため、汗で失われた分の電解質は食べ物や飲み物から補う必要があるのです。
・カリウムを多く含む食品
切り干し大根・ドライトマト・アボカド・ほうれん草・枝豆・人参・モロヘイヤ・バナナ・メロン・キウイ・昆布・ひじき・わかめ など
カリウムは野菜や果物、海藻などの植物性の食品に多く含まれます。また水に溶ける性質のため、食材を水にさらしたり、細かく切って茹でるなどの調理では摂取量が減ってしまいます。効率よくカリウムを摂取するには、茹で汁を捨てる調理方法は避けてレンジで加熱したり蒸すなどの調理方法がおすすめです。
エネルギー源となる糖質
暑い日は過度な運動をしていなくてもエネルギーや体力を消耗するものです。エネルギー不足になると暑さに打ち勝つことができず夏バテしてしまい、熱中症にもなりやすくなります。暑さに負けない体を作るには、炭水化物や糖分などエネルギーの源おなる栄養素を積極的に摂るようにしましょう。しかし、過度な摂取は肥満や糖尿病の原因になる可能性もあるため、適度にとどめるよう注意が必要です。
疲労回復効果のあるビタミンB1
暑い日は体力を消耗しやすいため、疲労回復効果のある栄養素を摂りましょう。特にビタミンB1は疲労回復効果が高いだけではなく、糖質の代謝を促してエネルギーを生産しやすくさせたり、イライラを抑える働きもあります。またビタミンB1はにんにくや玉ねぎ、ニラなどに含まれるアリシンと呼ばれる栄養素と一緒に摂取すると吸収が高まるとされています。食べ合わせも意識されるといいですね。
熱中症を予防する食べ物
豚肉
豚肉はビタミンB1の宝庫です。糖質をエネルギーに変える働きがあるため、暑さによる疲労感や倦怠感を軽減する効果が期待できます。また筋力の低下を防ぐたんぱく質も多く含むため、運動不足になりがちな暑い時期には特におすすめです。
納豆
納豆はビタミンB1を多く含むだけでなく、発汗によって失われたカリウムなどの電解質も多く含みます。火を使わずにすぐに食べられるため、暑い日の栄養補給にはぴったりです。
ぬか漬け
ぬか漬けにはビタミンB1が豊富に含まれています。野菜のぬか漬けには多くのビタミンB1が凝縮されています。また乳酸菌の宝庫でもあるため腸内環境を整える効果もあります。食欲がないときにはお好みの野菜をぬか漬けにしてみましょう。塩分も適度に含まれるため、汗で失われた電解質を補給することができます。
モロヘイヤ
暑い時期が旬のモロヘイヤは栄養価が非常に高い野菜の1つです。モロヘイヤにはカリウムが豊富に含まれているため、発汗により失われた電解質を補給することができます。
ウナギ
ウナギは昔から夏バテ予防によい「スタミナ食材」として重宝されてきました。豊富なビタミンB1のほか、紫外線の刺激によって生じる活性酸素に対抗するビタミンAやビタミンCも含んでいます。特に暑い日や、屋外で運動や仕事をした日にはウナギ料理がおすすめです。
以上、4回にわたって、熱中症の症状・暑さ対策・汗のメカニズムと塩分補給・予防に良い食べ物について述べました。屋外でマスクを外せる条件では積極的に外すことも忘れないでください。