柴山です。今回は熱中症予防Part3です。
塩分補給の重要性
熱中症対策のポイントは水分補給だけではなく塩分補給も大切!
熱中症が疑われるときの対処法として、こまめな水分補給が挙げられます。水分補給はもちろん大切なことですが、水分補給だけをしているとかえって症状を悪化させてしまうこともあるため注意が必要です。
水分補給が熱中症の悪化に繋がる!?
水分補給はしていたはずなのに熱中症になったり、症状が悪化してしまうのはなぜ?
高温多湿の屋内外で30分を超える長時間の労働やスポーツなどにより汗を大量にかくと、体内の水分とともに塩分やミネラルも奪われてしまいます。
そこに水分だけを補給すると、血液中の塩分・ミネラル濃度(体内における塩分やミネラルの割合)が低くなり、様々な熱中症の症状が出現します。つまり、水分だけを補給することがかえって熱中症の発症へとつながったり、悪化させたりすることもあるのです。
汗のメカニズム
何のために汗があるのか?
汗をかく機能が体に備わったのは、サルからヒトに進化する過程で森から草原に出てきたヒトの祖先は、食べ物を求め広い大地を長時間歩いたり、狩りをして走り回ったりするようになりました。活動量が増えると、体温はどんどん上がり、あまりに熱くなると特に熱に弱い脳をはじめ体の組織がもたないため、他の動物よりも効率的に熱を下げる仕組みが必要になったのです。
サルなど動物の全身を覆う体毛には、保温効果や殺菌・紫外線など外部の刺激から肌を守る役目がありますが、体温が上がりすぎる危険が常に付きまといます。ヒトにとって体毛はむしろ邪魔なものとなり退化し、熱を外に逃がす効果に優れた「発刊」という仕組みが発達しました。
汗は脳によりコントロールされている
体温調節を担っているのは、脳の視床下部という部位で、体温上昇の情報をキャッチすると、汗腺に「汗を出して!」という命令を出します。これ以外にも汗により血液が濃くなる(血液の浸透圧が上昇)と汗が抑制され、運動したときは筋肉の中で疲労を感知するセンサーが働き、これも発汗調節にかかわります。
図 汗の基礎知識 – 何のために汗はあるのか?|知りたい!汗とニオイ|ニベア花王 8x4 (kao.co.jp)
良い汗と悪い汗
汗は血液からできています。汗腺には分泌部という汗のもとを作る部分があります。ここで血液から赤血球などを取り除いた血漿(けっしょう)という液体から汗のもとがつくられます。血漿には各種のミネラルが含まれており、そのまま汗となって出てしまうと、体にとって大切な成分であるミネラルが大量に失われてしまいます。そのため分泌部から出てきた汗のもとは、皮膚表面に出るまでの道のり(導管部)で血漿に含まれたミネラルなどの成分が吸収されることにより、余分な成分が含まれない99%水分の汗が出てきます。汗腺で濾過機能が働いているのです。
しかし、この濾過機能には限界があり、汗の量が多くなると成分を濾過しきれず、汗に残される量が多くなってしまいます。この濾過機能がうまく働いている場合の汗は「良い汗」うまく働かなくなった場合の汗は「悪い汗」と言われます。
良い汗の特徴:成分の濃度が薄く水に限りなく近い。皮膚面で蒸発しやすい性質がある。
悪い汗の特徴:成分濃度が高くねばねば。蒸発しにくいため、体温調節の効率が悪くなる。余分な成分も多いため、嫌なニオイが発生しやすい。体内からミネラルが多く出ていくため、慢性疲労や熱中症の原因にもなる。
汗腺の濾過機能は汗をかけばかくほど高まる特性があるため、運動をしている人の汗はそうでない人より薄いことが知られています。適度に汗をかいて汗腺を鍛えることが「良い汗」をかく秘訣です。
熱中症時の水分と塩分の補給
熱中症が疑われるときは、ただ水分を補給するだけではなく、塩分も一緒に補給することが重要です。目安として1ℓの水に対して1~2gの食塩を加えます。さらに、長時間のスポーツなどで失われた糖分を補い、エネルギー補給をするために砂糖を加えると、水分や塩分の吸収がよくなるうえに、疲労回復にもつながるのでより効果的です。手早く塩分・糖分を一緒に補給できるスポーツドリンクなどによる水分補給もおすすめです。ただしカフェインの入った飲み物は利尿作用が強くなるので避けましょう。
水分・塩分補給におすすめ
- スポーツドリンク
- 浅漬け
- 塩分入りタブレット
- 塩分入りビスケット
- ゼリー飲料
- 塩昆布 ・お茶漬け