新型コロナウイルスの影響で免疫について関心を持つようになった方も多いのではないでしょうか?
またこれからの時期はインフルエンザが流行したり、季節の変わり目に体調を崩される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
病気から身体を守るうえで重要な役割を果たす機能が免疫機能です。
今回は免疫が具体的にどのような仕組みではたらいているのか、どうすれば免疫機能を向上させることができるかなどのポイントをお伝えします。
免疫とは?
簡単にいうと免疫とはウイルスや細菌、微生物などから体を守る仕組みのことです。
私たちの身の回りには、細菌やウイルス、ほこりや汚染物質など、体に有害なものがたくさん存在しています。そのような物質にさらされても病気にならないのは、それらの有害物質を体から排除する、免疫という防護システムがあるためです。
免疫機能は、体を健康に保つ力です。しかし、ストレスが過剰になったり生活習慣が乱れたりすると、正常に機能できなくなります。免疫が正常に機能するためには、自律神経がバランスよく働いているかどうかが鍵になります。
交感神経と副交感神経
自律神経には交感神経と副交感神経があります。
交感神経…おもに日中、活動している時に働きます。
全身の活動力を高める神経で、血圧や血糖を上げたり、血液を筋肉や脳に集める働きがあります。
副交感神経…おもに夜間、リラックスしている時に働きます。
体を回復させる神経で、内臓の機能を高めたり、免疫機能を正常にする作用があります。
「ストレスは悪い」というイメージがありますが、全くストレスがない状態よりも、多少はある方が生活にメリハリがつき、仕事や勉強も進めやすくなります。
しかし、長期間にわたって強いストレスにさらされると、自律神経の働きが乱れ、常に交感神経ばかりが優位になってしまいます。そうなると、免疫機能が正常に働きません。
つまり、自律神経が免疫には最重要ということになります。
免疫の役割
免疫の役割は体内の異物を攻撃することです。
①抗体の生成
②免疫記憶の形成
③自己細胞以外を識別
④炎症の制御
①抗体の生成
免疫は病原体に特異的な抗体を生成することができます。抗体とは病原体や異物に付着する名札のようなもので、アルファベットのYのような形をしています。名札のようなものですから、それぞれの抗体が付着する病原体や異物に一対一の関係で結合するようできています。このため免疫細胞が容易に異物と認識し、排除することができます。
②免疫記憶の形成
免疫は一度病原体に感染すると、その病原体に対する免疫記憶を形成します。抗体が血液中をはじめ体内に広がるほか、抗体を産生する細胞もこの抗体の作り方を記憶し続けます。この免疫記憶によって、同じ病原体が再度侵入してきた場合には迅速に抗体が産生され、より強力な免疫反応が起きるようになります。
③自己細胞以外を識別
免疫は、体内に存在する自己細胞と、異物や病原体である非自己の細胞を識別する機能を持っています。この身体の防御反応により、自分以外(非自己)の細胞を排除、攻撃を行います。免疫機能が正常であれば自身の健康な細胞に対して攻撃することはありません。
④炎症の制御
炎症反応を誘発することで、免疫反応をより増強します。しかし炎症反応が過剰になると、体内の正常な細胞にも損傷を与えることがあるため、炎症反応を制御する重要な役割も担っています。
免疫の仕組み
体を守るバリア機能(抗体を生成して病原体を排除)免疫機構は、非特異的免疫と特異的免疫に分けられます。
・非特異的免疫…生体防御の最初のライン
皮膚や粘膜、フェロモンなど
生体防御の最初のラインとして体表や粘膜、フェロモンなどが働くことで病原体や異物の侵入を防ぎます。体を守るバリア機能と考えればいいでしょう。皮膚や粘膜の上に存在する菌叢(細菌の集合体)や、酸性環境、リゾチーム(酵素)などによって病原体を排除することができます。
・特異的免疫…抗体やT細胞などがかかわる高度な免疫応答
抗原を特定して病原体に特異的な抗体を生成することで病原体を排除する免疫応答です。
抗体は病原体に結合してその働きを妨げ、他の免疫細胞を呼び寄せることで病原体を排除します。大きく分けてB細胞とT細胞の2つの種類があります。中にはNKT細胞のように非特異的な性質を持つ免疫細胞もあります。
今回は免疫とは何か、免疫の役割と仕組みについてお伝えしました。
次回は免疫細胞についてと免疫を上げるポイントをお伝えさせて頂きます。