福岡です。昨今、「M&A」という言葉が徐々に世の中に浸透してきていますが、正しくM&Aを理解されている方が少ないと感じます。
M&Aといっても、上場企業同士のいわゆる「敵対的買収」もM&Aですし、一方、中小企業同士の「事業承継M&A」もM&Aです。この2つは大きく異なる性格をしていますが、世の中的には同じM&Aとして解釈されていることが多いでしょう。
今回は、そんなM&Aを中小企業のオーナー経営者の方に正しく理解いただきたいという観点でコラムを書かせていただきます。
そもそも「M&A」という言葉が誤解を生む可能性がある
M&Aとは「Mergers and Acquisitions」を略したもので、日本語では「合併・買収」と訳されることがほとんどです。
「合併・買収」と聞くと、直感的に良い印象を持ちにくい気がします。なんだか攻撃的な印象が強いですよね。また、「合併・買収」と言ってしまうと主語は買い手企業となり、買い手企業の判断のみでM&Aが実行されるようなイメージを持たれるかもしれません(後述しますが、中小企業M&Aは決してそうではありません!)。
そういったこともあり、M&Aには買い手による敵対的買収のようなイメージがまだ根強いのだと感じます。
非上場会社では敵対的買収は起こり得ない
当たり前の話ではありますが、非上場会社の株式を自由に買ったり売ったりすることはできません。
上場会社株式は各取引所で自由に売買できますが、非上場会社の株式を売買する場所はないですよね。したがって、上場企業のような敵対的買収はできないのです。
また、非上場企業のほとんどは「株式譲渡制限会社」になっていると思います。「株式譲渡制限会社」は第三者に株式を譲渡する際、「取締役会」または「株主総会」の承認を得る必要があります。
ですので、株式を譲渡したくない場合は、「取締役会」または「株主総会」で否認すれば株式譲渡(M&A)は起こり得ません。
少し話が逸れますが、上述の通り、上場企業の場合は株式を売買する場所がある≒価格(株価)が常に付いています。一方、非上場会社株式を売買する場所はないので、その価格(株価)を導き出すのが難しいのです。
「M&Aをしなければ良かった」となるのは、準備不足や理解不足の可能性がある
中小企業のオーナー経営者の方と話をすると、「知り合いの社長がM&Aで会社を譲渡したけれど、譲渡したことを後悔している。なので、自分はM&Aをする気はない」とおっしゃる方が一定数いらっしゃいます。
M&Aで会社を譲渡して後悔されている方がいらっしゃるのは事実だと思います。ただ、それはM&A自体が悪いものということではなく、譲渡された方のM&Aの進め方や準備、M&A実行までの確認不足や理解不足が背景にあると思います。
前述の通り、中小企業のM&Aは買い手が一方的に実行できるものではなく、売り手企業が応諾して初めて成立します。ですので、M&A実行前に懸念点や心配な点は全て確認し、少しでも不安が残る場合は一旦M&A実施をストップできます。改めて時間をかけて条件交渉を行ったり、または他の買い手企業に当たってみるなど対応策を色々とあります。
続きは次回のコラムをご覧ください。