福岡です。前回はマッチングフェーズの相手探しの方法について、買い手候補先の選定方法、相対方式と入札方式についてお話させていただきました。今回は以下に記載あるノンネームシートから意向表明についてお話したいと思います。
マッチングフェーズの基本的な流れ
買い手候補先(打診先)のリストが完成したら、いろいろ打診開始です(打診方法は相対方式なのか、入札方式なのか、しっかり検討しましょう。)。
まずは候補先にノンネームシートを開示します。買い手候補がノンネームシートに記載された情報で関心を持った場合、買い手と秘密保持契約を締結し、企業概要書を開示します。
企業概要書の内容、質問のやり取りを通して引続き関心ある場合は、売り手と買い手で面談を行います(よく、「トップ面談」と言われたりしています。)。このトップ面談は最終契約までに数回実施されることが多いです。
トップ面談を実施し、買い手が本格的に検討を進めたいとなった場合は、意向表明書を買い手から売り手に提出してもらいます。入札方式の場合、この意向表明書が売り手のもとに各買い手候補から届き、売り手がその中から買い手1社を選び、基本合意を締結します。
ノンネームシートとは
ノンネームシートとは、売却検討企業が特定されるような具体的な情報は記載せず、地域、事業内容、売上規模等の概要を匿名で記載したものです。例えば、中部エリア・自動車部品製造・売上高10億円程度・従業員約20名・大手自動車メーカーのTier2、のような特定できないレベルの情報です。
情報漏洩リスクを低減するためにノンネームシートを活用しますが、あまりに具体性が欠ける内容だと何をしている企業かわからない、関心を持ちにくいなど、買い手が検討をストップしてしまいます。ざっくりとした魅力は伝わるけど、特定できないような内容がベストです。また、ニッチな業界になればなるほど特定されやすいので、より注意が必要です。
企業概要書とは
企業名、所在地などの基本情報はもちろん、ビジネスモデルや財務情報、売り手の強みや主要取引先などを記載します。買い手企業は企業概要書の内容を確認し、面談に進むかどうか検討します。
売り手目線で言えば、買い手に「是非面談をしたい!」と思ってもらえるように、しっかり魅力が伝わる内容にすることが重要です。
M&A仲介会社などにアドバイザリーを依頼している場合はもちろんアドバイザーが作成してくれますが、任せっぱなしにはせず、一緒に内容を検討し、精査しましょう。
トップ面談とは
売り手と買い手の経営者が直接顔を合わせる面談です。初回トップ面談を結婚で例えると、初回のデートですね。初回のデートが楽しくなかったら次のデートに誘われても行かないですよね。M&Aも一緒で、初回のトップ面談はかなり重要です!買い手は書面で確認できることは企業概要書で確認しているので、売り手社長の人柄や書面に表現することが難しい想いなどを一番聞きたいと思っています。
また、トップ面談は「面接」ではありません。買い手の立場としては色々聞きたい気持ちもわかりますが、質問の仕方などによっては売り手が良い印象を持たないこともありますので注意が必要です。
もちろん、売り手からも買い手に聞きたい点は確認し、お互いがいいイメージを持てることが重要です。
意向表明とは
現時点で買い手が考える買収条件や意気込みなどを記載した書面です。買い手から売り手に提出されます。
現状考えている条件面を記載することに加え、なぜ関心があるのか、自分たち(買い手)と組むことのメリット(将来の発展性など)なども内容に盛り込むのが良いです。入札方式の場合、売り手は数社の買い手から届いた意向表明書を並べて検討することになるので、より熱意・本気度が伝わるようにしましょう。