福岡です。今回は株価の算出方法についてお話させていただきます。
株価算出(バリュエーション)は非常に複雑で、また、少し条件を変えるだけで株価が大きく変動することもあります。今回は大きなイメージをまずお伝えさせていただきます!
キャッシュ(現金)が増加する(するであろう)出来事は株価を上げる要因になる
株価の考え方を一言で言うのであれば、上記が一番わかりやすいと思います。まずはこれだけでも覚えていただけると嬉しいです。
M&Aも投資の一種です。買い手としては、例えば100で買収するのであれば100以上のリターンが見込めないとM&Aをしたくありませんよね(もちろん、経済合理性だけでM&Aをする・しないの判断にはなりません!)。
キャッシュ(現金)が増加する(するであろう)出来事とは
いくつか具体的を記載したいと思います。以下に記載のことが起きれば基本的に株価は高く評価できるということですね!
①売上が上がる
これは当たり前ですね。
②土地や有価証券の時価評価が上がる
これもわかりやすいですね、時価評価が上がってそれを売却すれば現金が増えるので、結果、株価は高く評価できます。
③運転資金が減る
運転資金は「売上債権(売掛金など)+在庫–支払債務(買掛金など)」で簡易に計算できます。ですので、代金回収が早くなり売掛金残高が減ったり、逆に支払サイトが伸びて支払いに余裕ができると株価上昇に繋がります。これはわかりにくいと思いますが、会計・ファイナンス的にも説明ができます(ここでは省略します)。
④繰越欠損金がある
繰越欠損金があれば、将来黒字のときに支払う税金が減る≒キャッシュが増える(減らない)ので株価を高めることに繋がります。仮に、繰越欠損金の有無以外が全く同じ条件の会社があった場合、繰越欠損金が有る企業の方がM&Aにおける株価は高く評価できます。
キャッシュ(現金)が減少する(するであろう)出来事とは
同様にいくつか具体的を記載したいと思います。以下に記載のことが起きれば基本的に株価を下げる要因になります。
①従業員に対する退職金支払いの備え
将来的に会社から従業員にお金が流れるので、当たり前ですがキャッシュが減少します。
中小企業の場合、貸借対照表に退職金引当金の計上していないこともありますが、M&Aで株価を算出する際は引当金を算出し、それも加味して株価を算出します。
②訴訟中である
将来的に損賠賠償支払の可能性があり、損賠賠償支払いとなるともちろんキャッシュが減るので、株価を下げる要因になります。
③税務調査で追徴になり得る事象がある
キャッシュが増える(減らない)繰越欠損金とは逆に今後税金を支払うことになるので、株価を下げる要因になります。
例えば、過去に役員退職慰労金を根拠なく多額に支払い、全額損金算入していた場合などが該当します。
(上記②と③は株価の議論の前に、M&A実行に影響が出る事象かもしれません。売り手目線でいえば、株価引き上げで済んだと考えればもしかしたらポジティブかもしれません。)
いかがでしたでしょうか。本日の話は本当にざっくりですが、こう考えると少しシンプルに考えられるかもしれません。
また、キャッシュを増やすという切り口は常日頃オーナー社長の皆さまが考えられていることだと思いますので、そういう意味では確り経営をしていけば自然と株価は上がっていくのかもしれません。
次回はもう少し細かく、株価の評価方法についてお話させていただきます。