福岡です。「貴社と資本提携をしたい企業がいます」
このような内容のDMが届いたことがある中小企業の社長が多いのではないでしょうか?
中小企業の社長の方々の話をお聞きすると、以前にも増して最近ものすごくDMが増えているようです。
週に何通も会社に届いたり、更には社長のご自宅にも届くケースもあります。
今日はそのDMについて解説させていただきます。
大半のDMはウソDMで単なる営業ツールの可能性が高い
まず、「貴社と資本提携をしたい企業がいます」と書いているDMの大半は具体的な買い手がいないケースが多いです。はっきり言って信用しない方が無難です。もちろん本気の買い手がいる場合もありますが、その割合はかなり低いという認識をまず持った方が良いと思います。
M&A仲介会社は買い手候補になりそうな企業と面談し、例えば、その企業から「九州エリアで売上3億円くらいの物流会社が欲しい」とヒアリングした場合、企業データベースから「九州/売上高5億円未満/物流/運送」等で検索してリストを作成、そのリスト先企業にとりあえずDMを送ってみる、このような方法でDMを作成していることが多いかと思います。
こうやって作成されたDMが多く中小企業に届いているのです。
一方、少数かもしれませんが本気で貴社ご指名で関心がある場合も存在します。
本気のDMとウソDMの見分け方としては、具体的な情報が書かれているかどうかが判断材料になります。
ウソDMは不特定多数の企業に同様のDMを送るので、内容が汎用的です。
「貴社のようなブランドや実績を有する企業様と資本業務提携をお考えの企業様がいらっしゃいます」
おそらく、上記のような文面のDMはウソDMの可能性が高いです。それっぽく見えるかもしれませんが、本気のDMなら“貴社のような“といった抽象的な表現は使用しないはずです。
本気のDMであれば貴社に関心がある理由、買い手と貴社の具体的な協働イメージ、もしくは買い手の企業名等が記載できるはずです。
あり得ないDMの事例 ~買い手の社名が記載されている場合も要注意~
ある中小企業の社長から実際に見せていただいた信じ難いDMがあったので、ひとつご紹介します。
そのDMは某M&A仲介会社から届いたもので、内容としては「貴社のような優良企業様との資本業務提携を希望されている会社がございます。」というもので、実際に買い手の社名や概要が記載されていました。
私はぱっと見た感じ、これは本気かもしれないと思いました。
ところが、ここから全く想定し得なかったことがわかりました。
その買い手をwebで検索すると、「●●(買い手)は●月●日、●●地裁より破産開始決定を受けた。」という記事が出てきました。
DMを送付して1週間も経たないうちに破産開始決定となっているので、DM送付時点で破産手続き申立ての準備は間違いなく開始しています。
破産手続準備中の会社が貴社と資本提携(買収)したいという主旨の手紙が来たということです。
色々なDMを見たことがありますが、これが過去一番衝撃を受けたDMです。
こんなことは普通発生しないはずですが、
- 某M&A仲介会社が、無断で企業名を使用してDMを送っていた(もしこうであれば相当悪質)
- 某M&A仲介会社が過去に買い手(破産手続開始した企業)と接点を取り、そこでヒアリングした情報をベースにDM送付していたが、直近はコミュニケーションを取っていかなった
などが想定できます。おそらく②のケースだとは思いますが、あまりにお粗末なDMです。
あまりにしつこい会社からのDMはDM拒否を検討した方が良いかもしれません
同じM&A仲介会社から何度も同様のDMが届くこともあるかもしれません。
そのようなDMが頻繁に届くと、一方的な郵送に関わらず社内で変な噂になる可能性もあります。
代表電話等にDM拒否の連絡をすれば基本的にはそれ以上郵送されてくることはないと思うので、あまりにしつこい先はDM拒否も検討した方が良いかもしれません。