編集長です。厚生労働省 労働基準局 安全衛生部 安全課 から公表された資料を基に、記述をしていきます。この資料は、健康経営会議の事前録画配信「健康施策についてのご紹介」からダウンロードしたものです。健康経営会議2024:事前録画配信「健康政策についてのご紹介」7/25(木)動画・資料事前公開!|健康経営会議実行委員会 (note.com)
労働災害による死亡者数、死傷者数の推移
休業4日以上の死傷者数は微増傾向です。死亡者数は減少傾向です。
労働災害の増加要因(高齢化)
雇用者数の全年齢に占める60歳以上の割合の増加よりも、労働災害による死傷者数の全年齢に占める60歳以上の割合の増加の方が多いです。
年齢層別労働災害発生率(死傷年千人率)
人数当たりの年齢層別労働災害発生率を見ても、35歳から年齢を重ねるごとに労働災害の発生率が増えています。
年齢別・男女別の傾向(事故の型別の発生率)
男性は、年齢を重ねると墜落・転落が増加し、女性は、年齢を重ねると転倒による骨折が大きく増加しています。男女で、業務の違いもあると推測されるが、事故の型が大きく違います。
年代別の傾向(事故の型別割合)
休業4日以上の死傷災害の事故の型(割合)では、60歳以上は、転倒が大幅に増加しています。
【参考 】 労働災害全体の傾向
令和5年の統計では、休業4日以上の死傷者数は、転倒が27%。動作の反動・無理な動作16%。墜落・転落15%。右の推移を見ると、転倒が大幅に増えています。
厚生労働省では、設備災害から、個人要因にシフトしていると分析されています。
【参考 】 年齢層別 労働災害による休業見込み期間(令和5年)
年齢層別 労働災害による休業見込み期間(令和5年)の統計では、年齢を重ねると1か月以上の休業が増加します。
【参考 】 労働力人口の推移
労働人口の推移は、59歳までの労働力人口が減少し60歳以上の割合が増加しています。そして、人口減少により労働力人口の総数は減少しています。
第14 次労働災害防止計画の概要
第14 次労働災害防止計画の概要 とありますが、これは2023年4月からの5か年計画です。
計画の方向性として、①安全衛生対策促進。②転倒等の個別の課題に取り組む。③安全衛生に取り組まず、労働災害の発生を繰り返す事業者に対して厳正に対処。と挙げられています。
8つの重点対策のうち、フィールドワークポテンシャルテストに関連するのは、③高年齢労働者の労働災害防止対策の推進です。
重点事項ごとの具体的取組
②労働者 (中高年齢の女性を中心に の作業行動に起因する労働災害防止対策の推進
事業者に取り組んでもらいたいこと として、個々の労働者の転倒や怪我のしやすさへの対応 (転倒等リスクチェックの実施 と 結果を踏まえた運動プログラムの導入等 、 骨粗しょう症検診の受診勧奨 等のソフト対策)に取り組む。
と記載され、フィールドワークポテンシャルテストは、個々の労働者の転倒や怪我のしやすさへの対応 転倒等リスクチェックの実施 に該当します。
第14 次労働災害防止計画 重点事項ごとの具体的取組
③高年齢労働者の労働災害防止対策の推進
事業者に取り組んでもらいたいこと として、3高年齢労働者の健康や体力の状況の把握
(体力チェック等により、事業者、高年齢労働者双方が健康や体力の状況を客観的に把握)
と記載され、フィールドワークポテンシャルテストは、まさに該当します。
「事業場における労働者の健康保持増進のための指針(THP 指針)」概要
令和5年改正のポイント
②エイジフレンドリーガイドラインに基づく対応が重要であること
③筋力や認知機能等の低下に伴う転倒等の労働災害を防止するため、身体機能セルフチェック、フレイルチェック、
ロコモ度テスト等の健康測定を実施し、体力の状況を客観的に把握することが考えられること
と記載があり、エイジフレンドリーガイドラインの
3高年齢労働者の健康や体力の把握の(2)体力の状況の把握 および
4高齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応(2)高年齢労働者の状況に応じた業務の提供
でフィールドワークポテンシャルテストが該当します。
これまでの健康経営度調査との連携①
令和5 年度健康経営度調査 調査票(評価項目) では、
③従業員の心と体の健康づくりに関する具体的対策
Ⅱ具体的な健康保持 ・ 増進施策
★◎Q 55 運動習慣の定着に向けた具体的な支援 研修 ・ 情報提供を除く として 、 どのような取り組みを行っていますか 。 いくつでも
選択肢1 運動機能のチェック 体力測定 、 転倒等リスク評価セルフチェック 、 ロコモのチェック等 を定期的に行っている
◎
Q 61 高齢従業員特有の健康課題に特化した取り組みを行っていますか 。 いくつでも
選択肢8 運動機能のチェック 体力測定 、 転倒等リスク評価セルフチェック 、 ロコモのチェック等 を定期的に行っている
上記で、フィールドワークポテンシャルテストは加点項目となります。
中小企業向け 補助金による高年齢労働者の労働災害防止対策の支援(エイジフレンドリー補助金)
エイジフレンドリー補助金 という制度が中小企業向けに実施されています。フィールドワークポテンシャルテストは②転倒防止や腰痛防止のためのスポーツ・運動指導コースのうちの身体機能のチェックに該当するかと推測されます。運動指導は行いませんが、運動指導を行う方のうち、チェックをしない方も多いと思われますので、その場合は、組み合わせてご検討いただければと思います。
まとめ
高齢労働省の職場の安全を担当する部署では、ここ数年、転倒事故をなんとかして減らそうと取り組みを行っています。にも関わらず、増加が止められないのが現状で、高年齢の方が職場に増えているので仕方がないことかも知れません。
しかし、高年齢の労働力が企業が必要としているのも事実ですので、「知識や経験に長けている方」「身体能力が充分な方」など、個々の能力を把握したうえで、どの業務に就いてもらうかを考えることが労働災害を減らす第1歩だと考えます。そして、途中で配置換えが双方納得いき、スムーズにできれば、退職せずに同じ会社で働き続けることができます。
私たちのフィールドワークポテンシャルテストは、「健康増進意欲向上」を目指すものではなく、企業と個人の手元に同じ測定データがあり、それを基に「今後どうしていきましょうか?」を話し合うことができる土台作りに寄与するものです。確実に、企業に記録が残ることが全てです。是非、ご採用ください。