柴山です。前回までに辛いものや香辛料を食べてお腹が痛くなる原因についてお伝えさせていただきました。今回は腹痛になりやすい食べ物や、対策についてお話しさせていただきます。
腹痛になりやすい辛い食べ物とは?
辛い食べ物には様々な種類があります。
唐辛子やハバネロ、胡椒、山椒、わさび、からし(マスタード)生姜、にんにく等が挙げられます。基本的に、これらの香辛料が多く使われることで、スパイシーで刺激的な「辛い食べ物」となる場合が多くあります。
辛い食べ物で腹痛が起こる理由
辛い食べ物は、全て腹痛につながるというわけではありません。腹痛になりやすい辛い食べ物と、その辛さの成分は次の通りです。
◆唐辛子・ハバネロ
唐辛子やハバネロには「カプサイシン」が含まれています。カプサイシンは粘膜を傷つけやすく、胃粘膜が傷つくことで胃痛を感じやすくなります。
◆胡椒・山椒・生姜
胡椒・山椒・生姜に含まれる成分は次の通りです。
・胡椒:ピペリン
・山椒:サンショオール
・生姜:ショウガオール、ジンゲロール
これらの成分は胃を温め、古くから消化不良や腹部膨満感、胃炎などに用いられてきました。しかし、過剰に摂取すると、胃粘膜の熱の受容体に反応し痛みを発症させてしまうことがあるため、適量を摂るようにしましょう。
◆わさびやからし(マスタード)
わさびやからし(マスタード)には「アリルイソチオシアネート」という成分が含まれます。
アリルイソチオシアネートは知覚神経を刺激し、神経原性の炎症を引き起こします。それにより胃粘膜の血流を増やし、胃粘膜に炎症が起こり胃痛になります。
◆にんにく
韓国料理などでにんにくを食べ過ぎて胃がムカムカした、という経験のある方もいらっしゃるのではないでしょうか。にんにくには強い抗菌作用があり、たくさん食べてしまうと胃腸内の善玉菌まで殺菌してしまうのです。特に生で食べると胃腸への負担も大きくなりますので、生食の場合は1日1カケを目安にするとよいでしょう。
辛いものを食べても腹痛にならない方法は?
お腹を下すのはいやだけど、辛いものが好きな方や香辛料のきいたおいしい料理は食べたいという人に、少しの心がけでできる対策をお伝えします。
①生野菜と一緒に食べる
もっとも簡単なのは生野菜と一緒に食べること。生野菜には消化酵素が多く含まれており、香辛料の刺激成分から胃腸を守ってくれます。加熱した野菜は消化酵素が壊れていることも多いので、生でいただくことがポイントです。また、野菜に含まれる食物繊維は腸内で大腸菌のエサとなって、腸内環境をよくしてくれるというメリットもあり、一石二鳥です。
②お腹が不調の場合は香辛料をさけ、整腸作用のあるハーブなどを使う
香辛料で下痢になってしまうのにはもちろん個人差や体質も関係します。お腹の調子がイマイチというときには香辛料はなるべく避けるのがよいでしょう。
ハーブの中には整腸作用の高いものもあり、漢方胃腸薬に使われているものもあります。ニクズクとも呼ばれるナツメグはミリスチシンという成分を含み高い整腸作用を持っています。辛いものを食べたあとは、温かいハーブティーなどで胃腸をいたわってあげるとよいですね。
③ほどほどに楽しむ
たとえ薬であっても、用法や容量を正しく守らなければ体に悪影響を与えるように、香辛料も適量を心がけるのがよいでしょう。スパイスや香辛料のきいた料理は食欲をそそり、ついつい食べ過ぎてしまいがちですが、それでお腹を下してしまっては残念。お腹の調子と相談しながら、生野菜と一緒にパランスよくいただくのが、香辛料を楽しむ秘訣ですね。
◆辛いものを食べる前にできる対策
前述の通り、辛い食べ物には腹痛を引き起こしやすい成分があります。
その成分を吸収しにくくするために、刺激の少ないものや油分が多いもの、乳製品などを先に食べるようにしましょう。
◆辛いものを食べた後に腹痛にならない対策
水分をよく摂り、胃の粘膜に辛味成分が触れている時間が長くならないようにしましょう。前述の通り、生野菜には消化酵素が多く含まれているので、辛味成分の刺激から胃を守ってくれます。辛いものを食べている時や食べた後は、生野菜を意識的に摂取するとよいでしょう。
香辛料やスパイスは料理の味を引き立てる大事な役割があります。スパイスの効いた料理は、ついつい食べ過ぎてしまうくらいおいしいものです。しかし、香辛料の食べ方、使い方によっては残念ながら下痢を引き起こしてしまうことがあります。
食事をおいしくしてくれる香辛料がなぜ下痢を引き起こすのか、また下痢になることなく上手に香辛料を使う方法についてもご紹介させていただきました。自分にあった香辛料を適量楽しむことが、大人の食事のたしなみかもしれませんね。ぜひ参考にして生活に取り入れてみてください。