柴山です。前回は辛いものが無性に食べたくなる、癖になる理由についてお話ししました。
今回は辛いものや香辛料を食べた時にお腹の中がどうなるのか、なぜお腹が痛くなることがあるのかについてお伝えします。
辛いものを食べるとなぜ腹痛になるのか?
辛いものを食べて腹痛が起こる理由は、辛味成分が関係しています。辛味に含まれているカプサイシンなどの成分が、胃粘膜上の熱や辛味に反応する受容体に付き、痛みを引き起こしています。また、胃酸を過剰に分泌し、胃粘膜を荒らしてしまうことが原因です。胃の負担を増加させ消化不良や、腸の働きを促し下痢や吐き気などにつながります。
下痢になる原因
①香辛料には胃腸を刺激しすぎる性質があるものも
香辛料はおいしそうな香りや彩りで食欲をそそる半面、とりすぎると胃腸を刺激しすぎることがあります。香辛料と呼ばれるスパイスやハーブの中には、ヨーロッパでは古くから家庭の薬として使われた歴史を持つものや、漢方薬として現在でも胃腸薬に使われているものもあります。
薬も使い方を間違えれば体によくありませんよね。香辛料も一度に多くの量をとってしまうと下痢などの症状を引き起こしてしまいます。せっかくおいしい食事をいただくのですから、あとで下痢になってしまわないよう適量を心がけましょう。
②蠕動運動を高める
唐辛子に含まれるカプサイシンという辛味成分は、交感神経を働かせ、腸の蠕動(ぜんどう)運動を活発にさせます。蠕動運動それ自体は、消化した食べ物を移動させたり、お通じをよくしてくれる大切な働きです。ですが、カプサイシンをとりすぎると蠕動運動が活発になりすぎて下痢を引き起こしてしまうことがあります。さらに、カプサイシンの刺激によって胃腸にダメージを与えることもあります。
③胃腸の負担になり消化不良をおこす
香辛料の強い刺激が胃腸を刺激することは前にもお伝えしましたが、日本人はこの刺激にあまり慣れていないといわれています。というのもスパイスは古来、肉類の腐敗を防ぐために使われてきたものですが、もともと農耕民族であった日本人は肉を食べるという機会そのものが少なかったのです。近年急速に広まった肉の食文化に合わせてスパイスも広まりつつありますが、日本人にとってはまだまだ新しい文化となります。
このような理由で香辛料が胃腸にとって負担をかけ、消化不良や下痢を引き起こすという見方もあります。珍しいスパイスや新鮮なレシピにはぜひチャレンジしたいものですが、一度に大量の香辛料をとるのは控えるのが賢明かもしれません。
下痢になる香辛料の食べ方・使い方
①香辛料の使いすぎ
香辛料を食べて下痢になってしまう理由として、いちばん可能性が高いのは香辛料の使い過ぎです。香辛料の中には辛みや刺激の強いものがあります。その香辛料の刺激的な味や香りは食欲を増進してくれるものですが、量が多すぎると胃腸を刺激して下痢を引き起こす場合があります。
また、香辛料に対する強さは個人差や慣れも大きくかかわってきます。体質によっては香辛料を受け付けない人もいますので、注意したいところです。
②食べているうちに舌の感覚が麻痺して食べすぎる
香辛料の中でも唐辛子は食べているうちに舌の感覚を麻痺させてしまうことがあります。唐辛子のたくさん入った料理を食べていると、食べ始めはすごく辛くてもだんだん慣れてきますよね。辛さに慣れてくると、ついつい香辛料を食べ過ぎてしまうのです。
また、辛いものが好きな人は、より辛いものを求めてどんどん香辛料をとりすぎる傾向にあります。これは辛さに耐えるために脳が快楽物質を出しているためだそうです。このように刺激の強い香辛料を気づかずにとりすぎてしまうことで、下痢を引き起こしてしまっているかしれません。
③辛さを和らげるために大量の水を飲む
辛いものを食べると、辛さを和らげるために水を飲みがちですが、実はこれは逆効果。辛味成分であるカプサイシンは水には溶けないため、逆に口の中に辛味成分を広げてしまうことになるのです。水を飲んでも辛さが収まらず、さらにたくさんの水を飲んでしまう、という連鎖で水分を取りすぎてしまうことも下痢につながってしまいます。
香辛料にはたくさんの効能がある反面、食べ方や使い方によっては下痢などを引き起こしてしまうことがわかりましたね。これまで辛いカレーや中華料理を食べてお腹を壊したことがあるという方も、その理由がおわかりいただけたかと思います。
次は腹痛になりやすい食べ物や、対策についてお話しさせていただきます。