ふとした時に、辛いものが無性に食べたくなることはありませんか?とはいえ、辛いものを食べすぎても大丈夫かなと心配になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。辛いものを食べるとお腹を壊してしまい、その後の予定に影響が出てしまうことがありますよね。なぜ、辛いものを食べると腹痛が起こるのでしょうか。
今回は辛いものが無性に食べたくなる理由や、おいしく楽しむための工夫をお伝えさせていただきます。
辛いものが癖になるのはなぜ?
無性に辛いものが食べたくなる瞬間は、暑さや寒さなどに関係なく突然やってくるもの。まずは、辛いものをやみつきになるほど欲してしまう理由を解説していきます。
◆幸福感をもたらす効果があるとされている
◆ストレスを感じている場合もある
大きく分けてこの2つが関係していると言われています
幸福感をもたらす効果
今まではピリ辛料理でも満足していたのに、気付けば激辛料理じゃないと物足りなくなってしまった…という経験はありませんか?普段から辛いものが好きでよく食べる方は、さらなる刺激を求めてより辛いものを欲してしまう傾向があります。
このように、知らず知らずのうちにより強い辛みを求めてしまうのは、私たちの脳の働きと関係があります。まず、辛いものを食べると、脳内から「β-エンドルフィン」というホルモンが分泌されます。このホルモンには、ストレスを和らげたり幸せな気持ちにさせたりする効果があります。その分泌量は、安静時に比べると運動や負荷がかかったときには約3倍から5倍に増加。このような挙動から、運動後の爽快感や精神的ストレスの解消に大きく貢献すると言われています。
例えば、マラソンなどで苦しい状態が続いたときに快感や陶酔感を覚えるのは、脳内でストレスを軽くするためにβ-エンドルフィンが分泌され、“ランナーズ・ハイ”と呼ばれる現象が起こっているから。他にも、おいしいものを食べたときにも分泌されるというような背景もあって、これも一種の“幸せホルモン”と呼ばれているのでしょう。
また、β-エンドルフィンによって幸福感が増すと、脳からさらに興奮作用のあるドーパミンというホルモンも分泌されます。ドーパミンが分泌されると、食べれば食べるほど気分が良くなり、「もっと辛いものが食べたい!」と感じるようになります。
このサイクルを繰り返すことで、『辛いものを食べると、幸せな気分を味わえる』と脳が認識し、辛いものがクセになってしまうのです。唐辛子をたっぷりかけて激辛ラーメンにしたり、汗が吹き出すほど辛いカレーを注文したりするのは、β-エンドルフィンやドーパミンの影響といえます。
ストレスを感じている場合
また、無性に辛いものが食べたくなるのはストレスが溜まっているサインかもしれません。ストレスを感じた時、脳はそれを解消しようとして無意識に別の刺激を求めるようになります。
辛いものを食べると舌や喉がピリピリしますよね?こうした新しい刺激に集中させてしまうことで、ストレスを忘れてしまうように脳が働きかけているのです。辛いものを欲する原因がストレスにある場合、辛いものがおいしいから食べるというより、刺激を求めて食べているという可能性もあります。さらに、辛いものでストレスに対処できた記憶が生まれると、ストレスが溜まるたびに辛いものを食べたくなってしまうのです。また、辛いものを食べて汗をかくと爽快感が感じられるので、より一層辛いものが食べたくなるケースもあります。
辛いものを満足するまで食べ続けてもいいの?
辛いものが好きな方にとっては、このまま辛いものを食べ続けてもよいのか、辛味が強すぎるものを思うままに食べても大丈夫なのか気になりますよね。ここからは、辛いものを食べる時の注意点や、安心して楽しむためのポイントをご紹介します。
のどや胃が荒れるため注意が必要
辛い食べものは適量を楽しむことができればストレスの解消になります。そして、代謝を上げる、食欲増進にもつながるなど、嬉しい効果もたくさんあります。しかし、強すぎる辛みは身体に負担をかけてしまうため、体調が優れない時や刺激を感じやすい子どもなどは控えた方が良いです。小さい子どもがいるご家庭では、唐辛子や辛い加工食品などを誤って食べたり飲んだりしないように、手の届かない場所に置きましょう。
辛いものを食べると口の中がピリピリしますが、これは唐辛子などに含まれるカプサイシンという辛み成分によるものです。実は、ピリピリと感じるのは口の中だけでなく、飲み込んだあとも身体の中の消化器官全体に刺激を与え続けています。
そのため、カプサイシンを摂りすぎると胃腸への刺激が強まり、お腹が痛くなったり下痢になったりする原因につながるので、食べる量には注意が必要です。
また、のどの気管支もカプサイシンの刺激を受けることで、人によっては咳やぜんそくが悪化してしまうこともあるため注意しましょう。
② ③へ続きます。