花粉症と腸内環境と注意すべき食べ物

柴山です。今年は関東や近畿など各地で過去10年で飛散量が最も多くなる恐れがあると報道されました。食や栄養の観点から花粉症を考えてみます。IgE抗体や口腔アレルギー症候群といった難しい言葉も出てきますが最後まで読んでみてください。

花粉症とは

 花粉が飛ぶ季節になると始まる、くしゃみ、鼻水、鼻づまり。スギやヒノキなどの植物の花粉が原因で生じるアレルギー症状を「花粉症」と呼びます。医学用語では、「季節性アレルギー性鼻炎」と言われ、現在日本人のおよそ4人に1人が花粉症だと言われています。

花粉症のメカニズム

 くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、充血、涙などの花粉症の症状は、いずれも入ってきた花粉を取り除こうとすることで生じるアレルギー反応です。
花粉が目や鼻から入ってきて、体内の免疫システムによって「異物=敵」とみなされると、敵に対抗するための抗体(「IgE抗体」と言います)がつくられます。このIgE抗体は、花粉に接触するたびにつくられるため、少しずつ体内に蓄積されていきます。
蓄積量があるレベルに達すると、次に花粉が入ってきたときに、アレルギー反応を起こすヒスタミンなどの化学物質が分泌され、くしゃみや鼻水、鼻づまりといった花粉症の症状を起こすのです。

去年までは全然大丈夫だったのに急に花粉症になった・・・。それは、これまで蓄積されていたIgE抗体が一定量に達してしまったためです。

おいしく花粉症対策

 花粉症はアレルギー症状です。アレルギー反応には身体の免疫機能が関わっています。免疫細胞の約7割は腸に集合しているため腸内環境を整えることが大切です。

 腸内環境をよくすると、花粉(アレルゲン)が腸から体内に入りにくくなる可能性があります。

花粉症に効果的といわれる成分

乳酸菌

 乳酸菌は腸内細菌のバランスを整え便通をよくするなど、健康に役立つ善玉菌の代表で、免疫機能にも深くかかわっています。また乳酸菌には免疫の過剰反応を抑える働きがあるため、花粉症の症状緩和に役立つと考えられています。

 乳酸菌を多く含む食品

  ヨーグルト、乳酸菌飲料、チーズ、納豆、漬物、キムチ、味噌、塩辛など

ビタミンD

 ビタミンDは腸のカルシウム吸収を促し、骨を丈夫にするビタミンとして知られていますが、免疫を調整する働きも持っています。ビタミンDが不足すると花粉症のような異常な免疫反応を招くと言われています。

 ビタミンDを多く含む食品

  干しシイタケ、干しキクラゲ、イワシ、シラス、紅鮭、スモークサーモンなど

  また太陽光(紫外線)を浴びる事で体内でビタミンDが作り出されます。

食物繊維

 食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。

 水溶性食物繊維は腸内の善玉菌のエサになり、腸内環境を整えます。腸内環境がよくなると腸の免疫も向上するため、花粉症の症状改善が期待できます。また便を柔らかくし、便のすべりを良くする働きもあります。一方ゴボウ、大豆などの不溶性食物繊維は便のかさを増やし、腸の蠕動(ぜんどう)運動を促します。

 水溶性食物繊維を多く含む食品

  ワカメ、ひじきなどの海藻類、イモ類など

花粉症の方におすすめの食べ物

ヨーグルト

 腸内環境を整える乳酸菌が多く含まれています。毎日少しずつ食べるのがおすすめ。

 また乳酸菌のエサとなる水溶性食物繊維を含むきな粉や干しプルーンなどと一緒に食べるとより効果的です。

レンコン

 食物繊維のほかにポリフェノールやタンニンなどが豊富に含まれています。ポリフェノールは植物の色素成分で、抗酸化作用があり花粉症をはじめとするアレルギー疾患にも良い影響があると言われています。タンニンもポリフェノールの一種で、炎症を抑える作用のほか、のどの痛みや鼻水を抑える作用があるといわれています。

青魚

 サバやイワシなどの青魚に含まれるαリノレン酸のエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の不飽和脂肪酸と呼ばれる成分に、アレルギー症状を引き起こすロイコトリエンの放出を抑える働きがあるといわれています。

チョコレート

 チョコレートに含まれるカカオポリフェノールに花粉症を緩和する効果があるとされています。

梅干し

 におい成分のバリニンがアレルギー症状を緩和させる働きがあるといわれています。

 ※食べ物の効果は人によって異なります。花粉症の症状がひどい場合は症状にあった治療と対策を行うことが大切です。

花粉症の症状悪化につながる可能性のある食べ物

トマト

 スギ花粉症の人がトマトを食べると唇が腫れたり、喉がイガイガしたり、口の中がピリピリすることがあります。これを口腔アレルギー症候群(OAS)といいます。スギ花粉に含まれるたんぱく質とトマトに含まれるたんぱく質が似ているため、アレルギー症状が起こりやすくなります。

 OASを起こすたんぱく質は熱に弱いため、加熱により症状が出ない事もあります。OASのような症状がある場合は、念のためアレルギーの原因となる食品を避けるようにしましょう。

メロン、スイカ

 カモガヤやイネ科植物の花粉症がある人は、メロンやスイカでOASを起こすことがあります。メロンやスイカのほかにオレンジやトマトでも起こることがあります。

 またハンノキ花粉症の人はリンゴ、桃、梨、キウイ、メロン、スイカなど

 ヨモギやブタクサの花粉症の人はメロン、スイカ、セロリなどでOASが出現することがあります。

ジャンクフード

 ジャンクフードはトランス脂肪酸を多く含んでいます。マーガリン、ショートニング、ファットスプレッド、食用植物油、加工油脂などに多く含まれ、スナック菓子やファストフードなどのジャンクフードの多くはこれらが使われています。

 週3日以上のファストフードを食べている子供は、喘息やアレルギー疾患になりやすいという研究論文もあるため、花粉症を何とかしたいという人はジャンクフードを控えるようにしましょう。

まとめ

 本来は人体に無害な花粉が体に異常をもたらすのには、免疫機能が大きく関わっています。そのため、規則正しい生活習慣で免疫システムを整えることが花粉症対策になると考えられています。腸内環境を整えて免疫システムを正常にすることが、花粉症対策になると期待されています。
食事療法は薬のような即効性はありません。毎日の食事習慣として取り入れて、時間をかけて腸内環境を整えていく必要があります。

 ただし、食事療法の効果には個人差があり、食べ物・飲み物だけで花粉症を改善させることはできません。マスクをしたり、室内に花粉を持ち込まないように気をつけたり、日々の花粉症対策はしっかり行っていきましょう。