編集長です。この投稿が専門家のコラム103本目となります。偶然、元旦ということもあり、改めてフィールドワークポテンシャルテストの生い立ちと目指しているものをご説明します。
フィールドワークポテンシャルテスト命名由来
私たちは、造園業者です。ですから、職人とか作業員と呼ばれます。そして、仕事中の服は制服というより、作業着と呼ばれます。ここをもっと今どきにアップデートすることが必要だと思い、現場の最前線に立つ人を「フィールドワーカー」と総称しよう!と思い立ちました。そして作業服ではなく、制服と呼ぶように決めました。
英語でフィールドワークは発掘調査や現地調査のことを指すことが主流かと思いますが、例え和製英語であったとしても、しっくりくるならそれど良いじゃないか。そういう思い切りです。
デスクワーカーやバックオフィスの対極にいる人たち。リモートワークなんてできるわけないじゃん。という人たちがフィールドワーカーです。「フィールドワーカーって最高だ!」って、定着させてフィールドワーカー希望者を増やしましょう。
フィールドワークポテンシャルテストのスタート
造園業者ということは、先に述べました。以前から、「うわーこの作業しんどいなあ。」と思うような作業も70歳くらいの女性のフィールドワーカーが普通に作業していたり、自社の女性職人も木に登るし・・・年齢とか性別とかあんまり関係ないなあ。でも、面接とかどうやって選考したらいいのか?という疑問が湧いてきました。そういったタイミングで柔道整復師の青年と出会い、フィールドワークポテンシャルテストの原型ができました。
フィールドワークポテンシャルテストは労災事故との関係へ
柔道整復師と測定項目の組み立てを始めましたが、途中で方向性の違いが見えてきました。彼は、抜け落ちがないように様々な項目をチェックしたい。なぜなら本職でそれを改善させてあげたいと願っているから。
私は、誰でもできるように単純化して労災事故との因果関係に沿わせていきたい。そういう方向性の違いが出てきたタイミングで彼がスキルアップのために上京を決めましたので、労災事故の発生に絡むような測定内容に単純化していきます。
フィールドワークポテンシャルテストが目指す社会
フィールドワークポテンシャルテストは、大きく、2つのことを成し遂げたいと考えています。
・高齢でも元気に活躍できる人には長く活躍してもらえる社会基盤づくりに寄与する
・フィールドワーカー不足解消の一助になる
現状と理想のギャップを埋める
ここまで、東京ビッグサイト・幕張メッセ・ポートメッセなごや・マリンメッセ福岡で展示会に出展し、色々な企業の方とお話をさせて頂きました。その中で、立てた仮説と実際の状況の答え合わせを行ってきました。
仮説通りだったのは、高齢者の新規採用や更なる雇用延長には消極的なこと。
仮説になかったことは、ある程度の規模の企業になると、社内規定や高齢者用の評価基準がないなどの理由で更なる雇用延長ができないということです。
消極的なのは、やはり労災リスク・不良品発生率向上リスクなどのリスクが原因です。このリスクの部分には2種類のリスクがあると考えています。
2つのリスク 労災リスク
労災リスクに関しては、突発できな心筋梗塞などの病気のリスクと転んで怪我したという怪我のリスクの2種類があります。タクシー会社などで対策していますとインタビューで答えられていたのは、「毎日血圧測定をして毎日の健康状態を把握しています。」というものです。これは、前者側に入ります。フィールドワークポテンシャルテストの範囲外です。建設現場の新規入場の際や作業員名簿には健康診断の血圧を記入する欄があり、血圧の高い人は一言二言指導があり魔手。
労災リスクに関しては、原因が家庭での悩み事でぼんやりしていたなどの不注意や、適切な道具がない状態での省略行為なども原因になりますので、絶対に労災事故を起こさない人を抽出することは無理ですが、起こしやすいだろう人や重篤になりやすいだろう人はフィールドワークポテンシャルテストで抽出できると考えています。適性を調べることがフィールドワークポテンシャルテストの目的です。
ですから、フィールドワークポテンシャルテストを有効活用して頂ければ、労災リスクの把握の一助になると考えます。
2つのリスク 人事判断リスク
高齢者の新規採用や雇用延長を判断した後に、労災や不良品発生が発生した場合に、社内的に「面接した人だれ?」という社内での責任問題が発生するリスクがあります。果敢に人手不足解消になると採用判断をした人が責められてしまうケースです。
前述した通り、事故を起こさない人を抽出することは不可能ですが、労災事故の後処理などを行う担当者からすれば心情的にそういうごたごたが発生する可能性は否めません。こちらのリスクも軽減する必要があると私たちは考えました。
企業向けの身体能力テスト
いくつかの展示会を経て、キャッチコピーが定まりました。「企業向けの身体能力テスト」。これです。
「へ?企業向けの?何が企業向けなの?」というこちらが欲しい質問がほぼ100%いただけます(笑)。そして、上記の2つのリスクを説明すると納得していただけ、必要性も実感しているとお話しいただけます。
出たっ!エビデンスはあるの?大学のバックアップは得ているの?
一連の会話で、結構な割合で出てくるのが「エビデンスはあるの?」です。「エビデンスなんかあるわけないでしょ。」と答えます。なぜならば、65歳の男性と比較してあなたは優れています。という評価を返すものではないから。
労災事故を起こしやすいか起こしにくいか?また、重篤化しやすいかどうか?を身体能力の側面から評価します。というテストです。前述しましたが、労災事故の原因はうっかり・ぼんやり・省略行為・体調など身体能力以外にも複数あり、因果関係も相当複雑な上、特定しようがありません。なので、エビデンスなどある訳がないというのが結論です。
大学と産学共同事業なの?という質問にもいいえと答えますが、そもそも何科の先生と協業したら良いですかの話から着地できません。ある1測定項目に関してならば可能かもしれませんが、それだけだとしても動き出すのに10年かかります。
私たちは、こう説明しています。「エビデンスがないと大手はこういうサービスを開発も提供もできませんよね?私たちは造園業者で私も25年以上軽作業員のおばあさんくらいのおばさんたちと日々作業を行ってきた肌感覚があります。それを暫定基準として定めてスタートしています。だからデータが蓄積してくれば若干の基準の修正はあるかもしれません。精度を上げるためにもご採用ください(笑)」と。
思いやりのある社会を想像する一歩は・・・
展示会には学生さんが入場される展示会もあります。そういった際に、「自分のおじいちゃんやおばあちゃんが65歳で退職して新人として面接行くと想像するとどう?同じ職場で働き続けられた方が幸せだよね?」と投げかけます。
私と同年代の50歳前後の方には、「自分が65歳で会社を出されて、年金だけじゃ生活できないからまだ働きたいけど、職探しで面接何度も落とされるのってキツくないですか?それまでに70歳まで今の会社で働ける制度を整備しましょうよ?自分の為にも。」と投げかけます。
自分や自分の家族がその時になった状況を想像すると、フィールドワークポテンシャルテストが目指す社会が実現すると良いよね~。と実感して頂けるようです。ひとりひとりが気づいて、ひとりひとりがその方向に意識を向けると、すーっとそちらの方に静かに進みだすのだと思います。
今年の願い
これを読んでいただいた方々が、このフィールドワークポテンシャルテストをご採用いただき、少しでも世の中に広まっていただけたらどれほど私は嬉しいか。そんな図々しいことを願っております。でも、きっとそれは私も嬉しいですが、他にも喜んでくれる人が出てくることだと考えています。
今よりも 少し思いやりにあふれる社会にしましょう みんなで。あと、フィールドワーカーという言葉を浸透させて就職先の選択肢に入れてもらえるように頑張ります。