柴山です。前回に引き続き腸内環境についてお伝えさせて頂きます。今回は腸内環境を整える方法についてお伝えします。
腸内環境が乱れると便秘や肌荒れ、免疫機能の低下など、体に悪影響を及ぼす可能性があります。腸内環境を整えるには、ヒトにとって有用な善玉菌を含む食べ物や善玉菌を殖やす効果のある食べ物を摂取し、生活習慣を改めることが重要です。
前回の記事で紹介した腸内環境のチェック以外にも便の状態で腸内環境をチェックできる方法があります。チェックするポイントは便の形と色です。
腸内環境が整っているとき
・黄色っぽいバナナ型
・においはあるが嫌なにおいではない
・軟かい
腸内環境が悪いとき
・黒っぽい色
・水っぽい、硬い
・悪臭
悪玉菌が増えると下痢や便秘といったおなかの不調が起こるようになります。
またこうした状態を放置すると、悪玉菌のつくる毒性物質が腸の粘膜の毛細血管から全身に回り、肌荒れの原因となります。さらには腸の免疫機能が低下して病原菌が繁殖し、病気にかかりやすくなってしまいます。もし自分が当てはまったら腸内環境を整える方法を試してみましょう。
腸内環境をととのえるための食事のポイント
腸内環境を整えるためには、善玉菌を含む食べ物や善玉菌を殖やす食べ物を摂ることが重要です。また朝食を抜かずにしっかり食べることも大切なポイントです。
①善玉菌を含む食べ物を摂る
腸内環境を整えるには、腸で善玉菌と呼ばれる生きた菌を含む食べ物を直接摂取することが有効です。
善玉菌を含む食べ物にはヨーグルトや乳酸菌飲料、キムチなどがあります。
これらはいずれも「乳酸菌」や「ビフィズス菌」「こうじ菌」「酵母菌」などの善玉菌を含む発酵食品です。こうした発酵食品に含まれる善玉菌の一部が生きて腸に届くため、腸内の善玉菌を増やすことができます。
乳酸菌やビフィズス菌のように、ヒトの体に良い作用があり生きて腸に到達することのできる善玉菌を「プロバイオティクス」と呼びます。
しかし食事で摂取した善玉菌は一定の期間は腸内にいられるものの、すみ着くことはできないといわれています。
そのため腸内を良い状態に保つには毎日善玉菌を補充し続けることが大切なのです。善玉菌は腸に到達するまでに胃酸などの影響で多くが死んでしまいますが、死んだ善玉菌も腸内環境を整えたり免疫機能を高めたりしてくれるため無駄にはなりません。
②善玉菌を殖やす成分を含む食品を摂る
腸内環境の改善には善玉菌を殖やすはたらきのある「食物繊維」や「オリゴ糖」を摂ることも有効です。食物繊維やオリゴ糖のように善玉菌の栄養源となって増殖を助けるはたらきのある成分を「プレバイオティクス」といいます。
食物繊維
食物繊維は、食品に含まれているヒトの消化酵素で消化できないものの総称です。
食物繊維は肉類や魚介類などの動物性食品にはほとんど含まれず、穀類や豆類、野菜類、果実類、きのこ類、海藻類などの植物性食品に多く含まれています。
食品100g当たりの含有量
・あずき(乾燥)24.8g
・切り干し大根(乾燥)21.3g
・いんげんまめ(乾燥)19.6g
・おから(生)11.5g
・納豆 6.7g
・そば(生)6.0g
・ごぼう(生)5.7g
・アボカド(生)5.6g
・ブロッコリー(生)5.1g
・枝豆(生)
厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、食物繊維の1日当たりの摂取目標量を18~64歳の男性で21g以上、女性で18g以上と定めています。現在日本人の多くは食物繊維の摂取量が不足しているため、積極的に食事に取り入れて腸内環境の改善に役立てていきましょう。
オリゴ糖
オリゴ糖は少糖類とも呼ばれる糖質の一種で、単糖類が2個から10個程度結び付いたものを指します。
炭水化物のうちエネルギーにできるものが糖質です。ブドウ糖や果糖などの最も小さな糖質を単糖類と呼び、単糖類が2~10個程度結び付いたものを少糖類、それ以上結び付いたものを多糖類と呼んでいます。
オリゴ糖を含む食品には大豆やたまねぎ、ごぼう、ねぎ、にんにく、アスパラガス、とうもろこし、バナナなどがあります。食物繊維やオリゴ糖の入った特定保健用食品や機能性表示食品も販売されているので、活用してみるのも良いです。
オリゴ糖を急に摂取した場合、下痢やおなかの張りなどの症状が現れることがあります。心配な方は1日のなかで何回かに分けて摂取したり、少ない量から何日かかけて推奨量まで増やしたりして腸内細菌をオリゴ糖に慣れさせましょう。
③朝食を食べる
腸内環境を整えるには朝食を欠かさず食べることも大切です。
朝食を食べると胃や腸の動きが活発になるため、排便のリズムが整って便秘の予防につながります。朝食を食べるだけで胃腸は動き出しますが、食事の内容を意識するとより腸内環境の改善が期待できます。
おすすめは善玉菌を殖やす作用のある発酵食品や、食物繊維、オリゴ糖が豊富なメニューです。身近な発酵食品にはみそ、漬物、ヨーグルト、納豆などがあります。
例えばご飯とみそ汁に納豆と漬物を加えた伝統的な和食にすれば、さまざまな発酵食品を摂ることができます。
またヨーグルトに果物を入れて蜂蜜をかけるフルーツヨーグルトもおすすめです。
はちみつにはオリゴ糖が豊富で、果物には食物繊維が含まれています。特にバナナやりんごはオリゴ糖も豊富なので、どの果物を入れるか迷った際にはぜひ選んでみてください。他にもオートミールや野菜サラダなどは食物繊維を手軽に摂れるため、腸内環境を整えるのに適しています。無理のない範囲でいつもの食事に何かプラスしてみるのも良いですね。
腸内環境の改善には水分の摂取も大切です。朝起きたときに水や白湯を飲むと腸が刺激されるため、老廃物の排出を促しやすくなります。
今回は腸内環境を整える食事についてお伝えさせて頂きました。
取り入れられそうなものがあったらぜひ取り入れてみて下さいね。
次回は腸内環境を整える生活習慣についてお伝えさせて頂きます。