柴山です。今回は前回の記事の続きである、薬に頼らない便秘解消法【生活編】からお伝えさせていただきます。
薬に頼らない便秘解消法
生活編
①ウォーキングなどの有酸素運動を行う
大腸の蠕動運動は副交感神経が優位な時に起こります。ウォーキングなどの有酸素運動では副交感神経が優位となり、また大腸に対する物理的な刺激作用も加わるため、排便の促進に効果が期待できます。1日20分程度を目安にウォーキングするとよいでしょう。
ウォーキング以外で大腸に対して物理的な刺激を与える方法としては、体幹のエクササイズが効果的です。体幹のひねり動作や、お腹を中心に体を曲げたり伸ばしたりする動作などがあります。湯船につかりながらお腹をマッサージするのも良いですね。
②便意を感じたら我慢しない
直腸に便が送られ、直腸内圧が上昇して直腸の壁が引き伸ばされると、その刺激が脳に伝わり便意として自覚します。しかし便意を感じても排便を我慢してしまうと、徐々に直腸の感覚が麻痺してしまい、排便反射が障害されてしまいます。
そのため、便に対する正常な反射を保つためには、便意を感じたら我慢せずに排便することが重要です。すでに便秘が慢性化して便意を感じづらくなっている場合には、毎朝朝食後に便意がなくてもトイレに行き、息を吐いて意識的に排便するようにしてみましょう。徐々に排便のリズムが起こり、排便反射の回復が期待できるようになってきます。
③自律神経のバランスを整える
前述の通り大腸の蠕動運動には副交感神経の働きが欠かせません。現代社会は交感神経が優位になりやすい刺激にさらされた社会環境にあるため、意識して副交感神経を働かせる必要があります。そのためには、まずは十分な睡眠をとることが欠かせません。また、なるべくストレスを減らすこと、リラックスできる時間を意識的に確保することも大切です。
このように一般的にいえる便秘対策でもたくさんあります。あとは便秘のタイプによっても変わってくるので、他にも自分にあった便秘対策を見つけてみてください。その際に医師に相談してみるのも良いかと思います。
下痢と軟便について
便秘と同じように下痢や軟便で悩んでいる方も多くいるかと思います。便秘と違い、排便そのものは済んでしまうためか、下痢や軟便の症状を放置してしまう方も多いです。一時的なものであれば問題のないケースもありますが、下痢が長く続いている場合は何か疾患が原因で起こっている可能性もあるため放置しないようにしましょう。
軟便とは
通常の便が「なめらかなソーセージ状・バナナ状」であるのに対し、軟便は「やわらかく形状があいまいな便」のことを指します。水分が多く、ドロッとした見た目をしています。
排便の際もキレが悪く、なかなか出てこない、残便感があるといったことが起こります。ある日軟便が出たからといって慌てることはありませんが、軟便が続く、便秘と軟便・下痢を繰り返す、便が細い、腹痛などの他の症状を伴う場合には、一度受診されることをお勧めします。
下痢と軟便の違い
軟便が「やわらかく形状があいまいな便」であれば、下痢は「固形物がない(形がない)液体状の便」といえます。水分量で言うと、軟便が80~90%、下痢が90%以上となります。(通常の便は70~80%)
ただご自身で便の調子を見るときには、その定義や水分量について考えるよりも、正常であるかどうかを観察し、少しでも異常を感じそれが長く続く場合には、早めに受診されることをお勧めします。
軟便の原因
・食事
食べ過ぎ・飲みすぎ、食中毒などによって軟便になることがあります。特に消化の良くないもの、カフェイン、アルコールは食か不良を起こし、胃腸の機能低下を招くことがあります。
・ストレス
精神的・肉体的ストレスによって自律神経が乱れて軟便が生じることがあります。
・薬の副作用
抗菌薬などの一部の薬は。その副作用として軟便が生じることがあります。
・疾患
過敏性腸症候群、クローン病、潰瘍性大腸炎などの病気の症状の一つとして、軟便が続くことがあります。特にクローン病や潰瘍性大腸炎は、症状が軽快したり悪化したりを繰り返すことが多いため、軟便が一時的に治まった場合でも注意が必要です。
軟便の改善方法
・食事の見直し
食べ過ぎ、飲みすぎ、消化の良くないもの・カフェインの摂りすぎがあれば控えましょう。
・ストレスとの付き合い方の見直し
ストレスを溜めないこと、解消することが大切です。スポーツなどの趣味、ご自宅でのリラックス時間などを作り、ストレスとうまく付き合っていきましょう。
・薬の変更など
医師に相談すれば、薬の変更などを検討してもらえます。自己判断での内服の中止、減薬は厳禁のため、必ず医師に相談してください。
・消化器内科を受診する
上記の方法を試してみても改善しない場合は、内視鏡検査に対応している消化器内科を受診しましょう。上記を試す前に受診しても良いです。
次回は引き続き便のお話の第4弾、下痢についてお伝えさせていただきます。