柴山です。これまで、腸内環境についてお話しさせていただきました。その記事にも出てきた便秘や下痢など便について詳しくお話させて頂きます。
便秘とは?
便秘(便秘症)はごくありふれた症状ですが、悩んでいる人は非常に多く日本人の1割程度とも言われています。便秘は病名ではなく状態を表す名前です。
排便の習慣は個人差が大きいため、どの程度で「便秘」となるか明確には決まっていませんが、一般的には数日以上排便がなく腹部膨満感や腹痛など、日常生活に支障がある場合をいいます。また医学的には「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」と定義されていて、排便の回数が少ないからといって、必ずしも「便秘」とは限りません。便秘の事を理解して予防や改善に繋げましょう。
便秘の種類と原因
急性
○一過性単純性便秘
旅行などに伴う食事や環境の変化、月経前、ストレスや水分不足など、一時的に起こるもの
○症候性便秘
何かの病気が原因で起こる便秘で、腸閉塞などが疑われるため、激しい腹痛や吐き気を伴う場合が多く、すぐに医師の診断が必要
慢性
1:常習性(機能性)便秘
○弛緩性(結腸性)便秘
腸の働きが弱いために起こるもので慢性便秘の中で最も多く、こどもや高齢者に多いため、生活習慣の見直しが大切になる
○痙攣性便秘
腸の働きが強すぎて、腸の痙攣性収縮によっておこるもので、精神的・心理的な要因(ストレス)などが強く関係する コロコロした硬い便になる事が多い
○直腸性(習慣性)便秘
直腸に便がたまると便意を感じるが、時間がないために便意が起きてもトイレに行かなかったりと、意識的にかつ習慣的に便意を制御することでおこる
2:症候性便秘
急性の場合と同様に何かの原因で起こる便秘で、大腸癌や大腸ポリープ、子宮筋腫や卵巣嚢腫、また虫垂炎の手術後などに生じた癒着などが原因である恐れがあるので、医師の診断を受けるようにしましょう
慢性便秘のタイプ
・なかなか出ない排便回数減少型
排便回数や排便量が減少することで腸内に便がたまり、腹痛などの原因に
・スッキリしない排便困難型
排便回数はあるが、うまく排便できないためんだり、残便感が生じたりする
慢性便秘はこのように大きく「排便回数減少型」と「排便困難型」の2つのタイプに分けられます。患者数は排便困難型の人が多く、全体の7割を占めています。便秘になるとQOL(生活の質)の低下にもつながります。
たかが便秘、されど便秘。放置していると、腸内で有害物質が発生し、肌荒れや頭痛、大腸癌を引き起こすとみられています。また、肛門にも負担がかかり、痔になりやすくなります。
便の状態を確認してみましょう
みなさんは便の状態を測る国際的な基準があるのをご存じですか?
便の状態を知るために内視鏡検査を受けるという手も、もちろんありますが、日々行うものではないし、何より医師の手を借りる必要があります。実は私たちの身体から排泄される便には腸の情報が詰まっています。つまり便の状態を見れば、ある程度腸の状態が把握できる・・・この判断の基準となるのが、1997年にイギリスのブリストル大学、ヒートン教授によって発表された「ブリストルスケール」と呼ばれるものです。便の形状・色・大きさ・を元に7段階に分けられており、医療の場でも広く使用されています。
引用 便の状態を測るブリストルスケール | 腸のおもしろ話 第4回 | サンスター健康道場 (kenkodojo.com)
こうした基準を知っておくと、日々の健康管理のためにも利用できます。日々の便の状態をきちんと把握することで、腸の健康状態がわかるのです。ぜひチェックしてみて下さい。健康な便の状態であるタイプ4を目指しましょう。
便秘症かも?チェックポイント
・排便の4回に1回は強くいきむ必要がある
・排便の4回に1回はコロコロの便あるいは硬い便(上記のタイプ1か2か)である
・排便の4回に1回は残便感がある
・排便の4回に1回は直腸肛門の閉塞感や詰まった感じがある
・排便の4回に1回は手を使った排便介助が必要である
・自発的な排便回数が週に3回未満である
上記6項目のうち、2項目以上満たしている人は「便秘症」の可能性があるとされます。さらに6か月以上前から症状があり、最近3ヵ月間は上記の2項目以上満たしている人は「慢性便秘症」の疑いがあります。何らかの疾患が原因の可能性もあるめ、一度専門医に相談されることをおすすめします。
次回は便のお話②
便秘についての続きと軟便・下痢についてお伝えさせていただきます。